災害では壊れないもの
災害への対応でここ1ヶ月半はざーっと過ぎて行きました。
ガダルカナル島は元々から交通インフラが全然整っていないというのに、ここへきて更に洪水被害に見舞われ、橋という橋が壊されてしまいました。中心地の主要な橋だけでなく、首都から西端の村までの移動につき1時間半ほどの道のり、橋のほとんどは壊れてしまいました。これらの川を渡る際は、横に砂で埋め立てた道が作られているのでそれを利用しています。これを作った近隣の村人から毎回交通料を取られるので、プライベートの車は激減しています。(そしてヒッチハイクが難しくなりました…。)
作り上げてきたものがあっけなく壊れてしまう、虚しさを感じずにはいられません。先何年かはずっと、この埋め立た橋を使うことになるでしょう。
4、5月、予定していた活動を行えなかったのは残念ですが、オフィスのチームワークがとても強くなっているのに気がつき、嬉しいこともありました。こういった非常事態にこそ、日頃からの活動ぶりが試されます。チームごとのプラン作り、準備、実施、そして現場チームからオフィスへのタイムリーな報告による、オフィスから州政府へのタイムリーな報告、これらをスムーズに行うことができました。何事もスムーズにいかないソロモンなので、ちょっとびっくり、そして感動しています(もちろん予算がしっかりついたというのが大きいですが)。
思えば私が来たばかりの約2年前は、私の同僚たちは出勤して、デスクの前に座り、くつろいでいるだけ…という状況。「この人たち何もしていないの?」という疑問から、「みんなで仕事をしようよ」というアイデアを伝え続け、2年かかって災害に見舞われたこの状況で、その成果が発揮されたのかな…?と。
私たちは今では「頼れるマラリアオフィス」と言われる、州政府の中でも優等生な存在で、同僚たちも頼られることに誇りに思っています。これは長年のJICA含む多くのファンドが作り上げてきた基盤があってこそだと思いますが、2年前と大きく違うのは、スタッフの1人1人が楽しそうにやりがいを持って仕事をしていることで、これはとても嬉しいです。
橋という橋は壊れてしまい、ソロモンのインフラの発展は大きく後退。しかし、キャパシティビルディング(能力強化)というソフト面のサポートは、時間はかかれど簡単には壊れないものだと、体力の奪われるハードな日々が続きましたが、嬉しい気づきもあった災害後の日々でした。