大切にしたい小さなコミュニティ
以前から紹介してきたヘルシービレッジのプロジェクト、年始めの会議で去年の成果をシェアしたところ、現場からオファーがいくつかあり、早速1件導入をしてきました。
場所は私自身も今年ターゲットにすべきと思っていたところ。ガダルカナル島内の、首都ホニアラから1時間東へ走ったあたりの地域。首都付近であり、オイルパームのプランテーションと金鉱があるだけに人口が多く、マラリアケースも多いのです。
さて、オイルパームのプランテーションは地域の環境や治安にけっこうな影響を与えています。まず、蝿がものすごく多い。廃棄物が大量の蝿を発生させているのです。食事をするときは自分のお皿から蝿を追い払うので精一杯で、おしゃべりをするのも難しいです。ソロモンで大ざっぱさに磨きをかけた私でさえ、ここでは長袖ロングパンツ、更に靴下まで履いていました。蚊にさされたところに蝿がつくと、簡単に皮膚病にしていまうのです。現にこの地域での皮膚病率も高い。
蚊も多いです。蝿と同じく廃棄物が環境を汚していることと、土壌の水はけが悪いことが原因のように思えます。おそらく、一箇所にオイルパームつまり同じ種類の木を大量に植え過ぎて、土の中の水の流れがおかしくなってしまっているのかなぁと思います。オイルパームの工場付近は、臭いも良くありません。「ソロモンで一番汚い場所」なんて言われてしまうこともあります。
そんな風に言われてしまう理由としてもう1つ、治安もあまり良くないのです。ここは昼間でも女の子は1人で歩くなとよく言われます。巨大なプランテーションの中では、地域の目も届かず、お互い知り合いが当たり前のソロモンの村の社会とは事情が違うのです。
今回はこの地域の中でのとりわけマラリアケースの高い地域に行ってきました。日中働きに出ている人が多い場所では、コミュニティ作りの活動はしにくいだろうなと思いつつ…、でもともかくも一度やってみよう、というわけです。
農民とお母さんを中心に人集めて委員会を作り、村人自身で村の環境を整えていくアイデアをシェアし、一緒に村を歩いて改善点を洗い出し、アクションプランを作りました。時間の流れがやはり違うので、人が集まるまでに辛抱強く待つ(あるいは呼びに行く)必要があり、毎度村へ行くたびこの瞬間、弱気になりそうな自分と闘います。
受け入れられていないのだろうか?
必要とされていないのだろうか?
外国人につき合ってくれているだけなのだろうか?
そして毎度今までの現場で学んできたことを思い出します。
ここは時間の概念が全然違う。
スケジュールに沿って動く習慣はない。
プロジェクトをするということ自体、村人には馴染みのないこと。
結局、現地の人に馴染むように、こちら側がフレキシブルに対応するのがいちばん。必要ないと思ったことは省くし、大事にした方が良いと思ったことには時間をかけます。私自身スケジュールに重きを置いていません。
そしてモヤモヤしたことは人と向き合って消化していくのがいちばん。同僚や村人と積極的に話して、お互いの理解を深めます。
結果とても良いかたちで導入ができました。
もう残り少ない活動期間、もっと最初からこんな風に活動できていたら…なんて考えますが、この経験はまた違う場所できっと生きてくるはず!と振り返る帰国3ヶ月前です。