島の裏側のクリニックへ
サイクロンは無事に通り過ぎ、ガダルカナル一周の出張へ旅立ってきました。
今回の旅は当初、2チームがそれぞれ島を半周づつの予定でしたが、予算の遅れ、サイクロンの影響もあり、スケジュールと人員を調整するため1チームで一周することになりました。
ガダルカナル島の面積は5,336平方km、これは愛知県や千葉県より少し大きいくらいだそうですが、ここを8人乗りくらいの小さなボートで一周、波の荒れ具合や天候により途中で足止めを食うことも考慮し、5日から10日というざっくりとした予定でいましたが、結果要したのは6日間でした。
各村のクリニックを訪ねて、マラリアに関するインタビューをする旅です。
今回はクリニックまでのサバイバルな道のりを紹介します。
ソロモンのほとんどの地域は道が整備されておらず、村と名のつく場所へはたいていボートが足になります。しかも、辿り着く先は想像以上に「村」なのです。
ボートから望む島の沿岸部は、木、木、ココナッツの木、その背後に山、という具合ですが、村の入り口は例えばこんな風景。
「え?ほんとにここ?」と毎度疑ってしまう上、スタッフがこの場所を覚えていることに驚いてしまいます。何が目印なの?と聞いても、「そんなこと聞かれても困るなぁ」という様子。 ココナッツの木にするする登る彼らと私では、何を見て育ってきたかが違うのでしょうか。 とはいえ、たまに道に迷います。そんな時は沿岸に向かってスタッフが叫びます。
「オーイ!○○村はここか??」 するとココナッツの木の間からひょっこり村のおじさんが現れたりし、 「いやいや、○○村はもうちょっとあっちだぞー!」と助言をくれ、 「そうか!サンキュー!」とスタッフは返し、再びボートを走らせるのです。
「もうちょっとあっちでわかるの?」と聞いてしまいますが、「心配いらないさー」という返事。 確かに、例のごとく目印などないので説明のしようもないです。
さて、そんなこんなで村の入り口を見つけると、ボートを沿岸部に着陸させます。
これがけっこう大変な作業で、少ない人数でボートを陸に押し上げるのが大変なのです。波の荒い場所では特に苦労するので、そんな時は着陸を諦め、人間が海に飛び込み泳いで陸まで行きます。もちろん私も一緒に行きます。大事なインタビューシートを濡らさないように、みんなでファイルを持った片手を挙げて泳ぎます。
結果びしょびしょの体で山中を歩き、そのままクリニックに「こんにちはー」と入っていきます。
「びしょびしょでごめんなさい。」 「日本人も泳げるのね!シャワーでも浴びる?」と朗らかな看護師さん。 小さい頃スイミングスクールに通っていてよかったのではと、遠い南の島の僻地で考えます。いつどこでどんなことが、活かされるかわからないものです。
川を泳いで渡ることもあります。川はひんやり冷たいのを全身で実感します。
島の広大さ。
自然はキラキラと私たちを包み込んでくれるときもあれば、突然激しい雨とともに灰色の風景を覆いかぶせるときもあります。東京育ちの私は、ともかくも寄り添って、身をゆだねてみています。
次回は、もう少し仕事の内容についてお話できればと思います。