火山島ビレッジステイ
首都から海を臨むとぽっかりと丸い火山島が見えるのですが、先週末はここへ遊びに行ってきました。約2年前、ソロモンへ来たばかりの頃にウェスタン州へビレッジステイに行ったのですが、そこのホストファミリーのママがこの島出身で、妊娠を期に実家へ戻っていたので会いに行ってきたのです。
私が帰る年を覚えていてくれて、今年の始めに「もう帰る年なんじゃないかと思って」と電話をくれたのです。日本に帰っちゃう前にこの2年間の話を聞きたいのよと、毎週のように電話をくれるようになり、近いところにいるなら会いに行けるじゃないかということで行ってきました。
この島は観光用の週末日帰りチャーターボートなども出ているのですが、私は行きたい場所がリゾートではないこともあって、普通の庶民用のボートで行きました。町中の小さな船着き場で、ドライバーに100ソロモンドル(約1500円)を払って乗せてもらいます。何時に出るかは乗客集まり次第なので、よくわかりません。待つのみ。待つのみ、という状況はソロモン生活では日々直面するので慣れっこです。酔っぱらいに注意しつつ、周囲のおばちゃんと話したり、日記を書いたり本を読んだりして過ごします。
金曜日の夜7時頃、火山島サボへ到着。真っ暗な砂浜で友人のママが待っていてくれました。「アヤノ!」と抱きついてくれた小さな子は、当時まだ赤ちゃんだった女の子!すぐにわかりました。ソロモンで2年ぶりの再会というのも、感慨深いものです。「もう2年、この国にいるんだなぁ」と実感させられるものがあります。
さて、ボート移動でずぶ濡れです。嬉しいことに焚き火でお湯を沸かして待っていてくれたので、バケツにそれをいれてオフロに入りました。星のきれいな夜空の下、水(お湯)浴びは最高です。そして夜ご飯、近くで獲ったという貝を食べました。
ママ「ソロモン人の女の子みたいにピジン語がペラペラになったわね」
私「赤ちゃんだったこの子もピジン語がペラペラになったね」
土曜日、メガポットという名物の鳥を探しに行ったり、海で泳いだりして過ごしました。おかしかったのは、村の即席カジノ。カードゲームで買ったらヌードルがもらえるという賭け事。商品がヌードルというのがやや抜けていておかしいのですが、思えばここ周辺にストアはなく、今晩のご飯がかかった勝負。ママは真剣でした。
この火山島は、ソロモンに珍しくあまり食べ物が豊富ではありませんでした。土の温度が高く食物が育たないのだそうです。でも相変わらずバナナ、サツマイモ、キャッサバは健在。強い植物なのですね。夜はローカルフードのプディング(バナナやイモ類で作るおもちのようなもの)を作りました。
日曜日は火山を見に行きました。1時間半ほど、子ども達とぞろぞろ海岸や山道を歩き、もくもくと湯気が立ち上る谷底へ到着しました。近づいてびっくり、においが温泉そのものです。川のように流れている水に足をつけてみると、温かい。不思議な気分です。環境は暑く、目の前の風景も南国ソロモンなのに、においだけが日本のようで懐かしい…。子ども達は粘度を掘り出して遊んでいました。そしてなんと、男の子が持参したバナナを火山灰に埋め、石焼を始めました。石焼はソロモン共通のローカル調理法ですが、火山灰を使うとあっという間にできるのだそうです。そして本当に、ものの5分でできました。あつあつの火山灰バナナ、これがものすごく美味しかったです。3日間貝以外はサツマイモしか食べていなかったですが、ここへ来て美味しいものを食べた!という感動がありました。
夜遅く、出掛けていたホストファミリーのおじいちゃんとおばあちゃんが帰ってきました。島のミーティングがあったのだそうです。ソロモンのコミュニティの結束が固い村では、定期的に村の長同士や代表者間でミーティングがあったりします。昔ながらの生活を続ける人々。
こんなに野菜がとれなくては、私だったら引っ越したくなるんじゃないかと思いますが、先祖代々ここに住む人々はここを離れないのです。でも世界を見渡せば、1週間ラクダのミルクだけで過ごし砂漠を旅をする遊牧民もいれば、アザラシの干し肉で冬を越す狩猟民族もいる…。ここにいる人々はサツマイモとバナナだけで過ごしているけれど、おじいちゃんもおばあちゃんも足腰は丈夫でとても元気です。
何が必要で、何は必要ないのか。 何を守るべきで、何は変えていくべきなのか。
2年途上国で過ごしても、わからないことはたくさんあります。でも思えばそれも当然の話。現地の人々と肩を並べて、あるいは向き合って、探し続けることが大事。
そんな事を考えながら、広大な山と海の間を駆け回る子どもたちに、すくすくと育ってくれることを願うのでした。